最強キャビシミュ「Two Notes Torpedo C.A.B. M+」セッティング方法、使い方解説

前回の記事では「Two notes Torpedo C.A.B. M+」のレビューをやっています。

最高のキャビネット・シミュレーター「Two notes Torpedo C.A.B. M+」実録レビュー!

この機器はどうも巷に使用者レビューが少ないので、自分で書くことに決めました。Torpedo Remoteを使っての音色づくりがメインですが、Torpedo Wall of Soundプラグイン(WoS)も同じような感覚のはずなので、参考にできると思います。

それではいってみましょう!

Two notesの独自規格”DynIR”とは

Torpedoシリーズのキャビネット・シミュレーターはこのDynIRを使えることが最大の目玉になっています。このDynIRについては日本語での紹介が少なく(代理店の日本エレハモのサイトでは言及無し)、英語の公式サイトに詳しい説明があります。

What is DynIR?

You would need a library of 160,000 perfectly phase-aligned studio-grade IR files to replicate a Two notes DynIR Virtual Cabinet. The magic of DynIR is that you don’t see any of it happen, you just move the mic around the cabinet, in real time, and hear the changes.

Why 160k? With 10k position front and back, and 8 microphones per cabinet, it’s like having 160k static IRs available, instantly.

要約すると…

キャビネットの前面と背面にそれぞれ位置を変えて収録した別パターンのファイルを1万ずつ用意。それが8つのマイクごとにあるので16万。これらのIRファイルがマイクの種類や位置の変更によって即座に適用されるというもの。ファイルの制作がめちゃくちゃ大変そうです。

ユーザーは膨大なファイルを一つずつ試す必要なく、GUIでマイクの位置や種類を変えることで、直感的に最適なファイルが選び出せるとしており、静的(static)ではなく、セッティングによって柔軟に中身を変えていくIRを動的(dynamic)とみなして、Dynamic IRという名が付いているようです。

背面マイクだけで前面と同じ量のIRが収録されているという念の入れようで、公式サイトにも「音の太さは背面マイクからのみ得られる」といった記述があり、背面マイクの有用性に字数が割かれています。

Torpedo Remoteについて

Torpedo関連のハードウェアを使うのに必要なソフト。PCとつなぐか、モバイル端末でもBluetoothでイケる模様。本体だけでもセッティングできるみたいですが、困難を極めるので、まあ大人しく使っておきましょう。

セッティングしましょう

この機器の最大の欠点がプリセットが駄目なこと。自分でセッティングするのが大前提です。某販売サイトで”有料IRを速攻で入れるべし”というレビューが散見されますが、これはろくに使い込んでいない人の言い分。しっかりセッティングすれば巷の有料IRを凌駕するすごい音が出ます。

キャビネットを選ぶ

音の傾向を決める最大のポイント。公式のDynIRショップには500以上のキャビネットが売ってますが、C.A.B. M+を買うと、ギター、ベースアンプ含めて32種類のキャビモデルがはじめから付いてきます。

キャビサイズは質感の最重要ポイント。クリーンやクランチメインでオールドスクールな音色を目指す場合、1×12ぐらいの小さなものを。轟音系ハイゲインならスタックアンプスタイルの4×12を。2×12はモダンなインストとかに向いてます。

昔ながらのVintage 30とかも良いですが、個人的にはライセンス契約もしているREVVやVictoryのモデルが気に入りました。

マイキングを試す

マイクについては8本から選びます。どのモデルでもおなじマイクがあるのではなく、そのキャビネットごとに最適と思われる8種類がチョイスされているようです。モノによっては定番の57が選択肢にないものもあったりします。

下のセッティングと上の画像部分が連携する

AXIS…スピーカー中心からの横へのずらし量
DISTANCE…キャビネットからの距離

さて、マイキングは音作りの要ともなっていまして、前面、背面含めると無限の選択肢があります。マイキングを絵的にいじくれるキャビシミュは珍しくないですが、DynIRはどこにセッティングしてもそこそこ使える音になります。マイクの位置ごとにスタジオクオリティIRを1万種類収録したという言い分も伊達ではないようです。

マイキングは選択肢がありすぎて難しいですが、片方をミュートしつつ一本目でメインの音色をセッティング、そして二本目は足りない部分を補うように作っていくと割とすんなりいきます。背面マイクは奥行きと深さ、太さが出せます。

プリアンプ、パワーアンプシミュ

プリアンプ、パワーアンプシミュレーション

プリアンプ
本体にはプリアンプが入っていて、74年製SilverFace期のFender Bassmanがモチーフです。典型的なクリーン〜クランチの”ええ音”です。手持ちの歪みエフェクターをそのままラインで出したいときには必須です。

パワーアンプシミュレーション
パワーアンプの飽和感やキャビネットの箱鳴りを強調できます。掛けすぎると不自然になりますが、結構使えます。真空管4種類とそれぞれにSingle-Ended、Push-Pullの2方式が選べます。

その他機能

EQ、エンハンサー、ノイズゲート
EQ、エンハンサーはどちらも音の最終調整するためのものですが、エンハンサーは少し掛けるだけで劇的に効きます。うまく使うと、音の太さを増強したりできるのですが、自然な掛け具合が難しいです。

EQはDTMやってる人ならわかると思うんですが、正解が分からずEQ地獄に陥る可能性があるので、よほどでない限り積極的には使わないほうがいいんじゃないかと思います。

ゲートは個人的にほとんど使わないので未チェックです。昨今メタルのリフを弾くときにシャープさを出すために使うことがありますね。HARDモードがあるので、そっちの用途でも使えるんじゃないかと。

リバーブ
意外な隠れ機能がこのリバーブ。おまけ程度かと思いきや、えらく作り込まれています。正直、シミュレート部分を切ってリバーブ用としてもある程度通用するんじゃないかと思えるほどなので、ステレオ出力でないのが残念です。

種類も豊富

専用機ではないので、パラメータが至ってシンプルで、セッティングを細かく作ることはできません。だがそれが良い。

外部IRの使用

当然外部のIRファイルを読み込めます。2つを読み込んで並列でミックス可能。とはいえ、この程度なら大体の機器でできますし、外部IRを全面的に使う人はそもそもこの機種を大枚はたいて買う必要無い気がします。

録音しました

ここからは実際にセッティングを作って録音をしています。

Two notes Le Leadプリアンプ


同じTwo notesからの品。現在廃版のプリアンプです。

セッティング
REVVの2×12を選択。パワーアンプのみ掛けています。背面マイクを薄くミックスすることで、奥行きと太さが確保できます。

Mad Professor Stone Grey Distortion


プリアンプ機能も何もない普通のコンパクトエフェクター利用。内部プリアンプ必須です。

セッティング1
ボグナーのキャビを選択。エンハンサーで太さを増しています。

セッティング2
こちらはまたもやREVV 2×12。EQで高域のチリチリした部分をカット。

ZOOM Multistomp MS-50Gアンプモデリング


10年以上のロングセラーにして天下一の器用さを誇るZOOM MS-50Gのアンプシミュレーターを利用。本体のキャビシミュは切ってます。
セッティング1(Marshall 1959)
アンプ側はマーシャル1959を選択したので、それに合わせてマーシャル系の4発キャビを。パワーアンプは掛かりの自然なシングルエンド。普通ならプッシュプルなんですが、この辺シミュレーターならではの選択です。


セッティング2(Diezel Herbert)
アンプ側はディーゼル。キャビはVictoryの4発。


内蔵プリアンプのみ、アコースティックギター

内蔵プリのみ
前に何も配置せず、本体に直挿しで録音。ツイードフェンダーのキャビに高域を削ったプリアンプでジャズトーンに。

アコースティックギター
アコギ用IRを読み込むことで、ピエゾピックアップのへんてこな音をマイクのように変える手法です。リバーブとEQ大活躍。EQは超高域のチリチリした成分を少しカットしています。

ピエゾPUはFishmanのMatrix Infinity、IRファイルはPast to Future Reverbsのものを使用。

https://pasttofuturereverbs.gumroad.com

さいごに

色々と試してみましたが、マイキングを追い込み、次にパワーアンプを調整、最後になにか足りなかったらEQ、エンハンサー、という順で作るのがうまくいきました。背面マイクは中低域と奥行きを見事に補強してくれるので、積極的に使っていくのをおすすめします。